大村市九条の会

会報 第19号

発行:2007年6月
映画『日本の青空』の紹介

 日本国憲法が、日本が占領されていた時期に制定されたことは歴史的事実です。また、当時日本の統治にあたったGHQが日本国憲法の内容に大きな影響を及ぼしたこともまた事実です。

そこで、安倍首相は日本人自らの手で憲法をつくる必要があると言っているのですが、どう考えたらよいのでしょうか。

 「日本の青空」はこの問いについて考える素材として見事に出来上がりました。

憲法学者・鈴木安蔵について

1904年 福島県小高町生まれ
相馬中学校、第二高等学校文化甲類を経て京都帝国大学文学部哲学科に入学。その後社会の矛盾に対抗するため経済学が必要との考えから経済学部に転部。
1926年の治安維持法違反第一号「学連事件」で検挙され自主退学。以後、憲法学、政治学の研究に従事。
民衆の立場に立つ憲法学を成立させる。
1937年 衆議院憲政史編纂委員
1945年 「憲法研究会」案の『憲法草案要綱』を起草
1946年 憲法普及会理事
1952年 静岡大学教授
 その後 愛知大学教授 立正大学教授
1962年 日本民主法律家協会・憲法委員会委員長
1983年 8月7日逝去(享年79歳)

憲法制定に情熱を燃やした人々がいた

 日本の戦後を決定づけた「日本国憲法」は、こうして生まれた!

ポツダム宣言を受諾した日本政府に、マッカーサーは憲法改正を指示した。担当大臣として、改正を最小限にとどめようとする松本烝治。政治生命を懸ける近衛文麿。一方、GHQは、民生局行政部を中心に憲法草案にとりかかる。戦争放棄の発案者は誰だったのか? マッカーサーが新憲法を急いだ理由とは?

 日米の駆け引きと、憲法に情熱を注いだ人々を描く長編小説。

内容は、憲法賛美では決してなく、かといって「こうしてできた憲法など無効にすべきである」という改憲派寄りのメッセージもない。いわば憲法の成立過程を、そのいい面も悪い面も淡々と中立的に描いている。(角川文庫版 700円)

映画「日本の青空」と併せて、一読したい作品だ。