大村市九条の会

会報 第22号

発行:2008年3月
戦争絶滅受合法案 (20世紀当初、デンマークのフリッツ・ホルム陸軍大将作)

  「戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力の生じたる後、十時間以内に次の処置をとるべきこと。即ち下の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。

  一、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たること。
  二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。
  三、総理大臣、及び各国務大臣、並びに次官。
  四、国民によって選出されたる立法部の男性の代議士。但し戦争に反対の投票を為したる  者は之を除く。
  五、キリスト教又は他の寺院の僧正、管長、その他の高僧にして公然戦争に反対せざりし 者。

 上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等を斟酌すべからず。但し健康状態に就ては召集後軍医官の検査を受けしむべし。 以上に加えて、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。」

 この「戦争絶滅受合法案」は、デンマークの陸軍大将フリッツ・ホルムが、各国の議会に送付し、この法案を成立させれば、世界から戦争がなくなることは受け合いだとのべたそうです。 昭和初期のジャーナリスト長谷川如是閑が日本に紹介しました。

 つまり、戦争が始まったら10時間以内に、まず次の者たちから、最下級の兵卒として召集して、最善支援に送り込んで実践に従わせるというものです。第一に国家元首、第二に国家元首の男性親族で16歳以上の者、第三に総理大臣、国務大臣、次官。大臣はみんな行かなければいけません。

 官僚のトップも行かなくてはなりません。そして、第四番目に国会議員です。「但し戦争に反対の投票を為したる者は之を除く」とあります。  これはとても面白い法案ですが、もちろん今まで成立したことはありません。

  しかし、戦争の本質をよく捉えています。わかりやすくいえば、戦争の時には国家元首をはじめとする権力者たちや支配者たちは戦場に行かず、安全なところにいて、命令を発していくわけです。つまり彼らは最前線には行かないのです。

 「今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々この言葉を使う。しかし、国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。

 自衛隊は『国の独立と平和を守る』のである。もし個々の国民を指すとすると自衛官も守られるべき国民であるから、生命を犠牲にすることは大きな矛盾である」(元自衛隊統合幕僚会議議長:栗栖弘臣著「日本国防軍を創設せよ」)

 「我々の任務は国家を守ることだ。それが国民の財産や安全につながる。自衛隊は国民を守るためにある、と考えるのは間違っている」(朝日新聞「国守る自衛隊」陸上自衛隊幕僚幹部の発言)

 「国家の安全のために個人の命を差し出せなどとはいわない。が、90人の国民を救うために10人の犠牲はやむをえないとの判断はあり得る」(03年6の朝日新聞、久間章生氏の発言)