2015年 新年のご挨拶


掲載日:2015年1月13日

2015年 新年のご挨拶
明けましておめでとうございます


「九条の会」に集う全国の皆様方に「大村市九条の会」より連帯のご挨拶を申し上げます。

 ここ数年、繰り返し司法が「違憲状態」と指摘する中、一票の格差是正はそのままに、大義なき解散との世間の批判を浴びながらも強行実施された衆議院選挙でした。

 選挙において自民党は小選挙区で24%、比例で17%という低い得票率にも関わらず、自公で憲法改正発議が可能な勢力構図となりました。 物事を深く考えない「反知性主義」政治家集団が権力を握ることは、「主権在民」「基本的人権」「平和主義」を柱とする現憲法が崩壊の道を辿ることを意味します。

 その中にあって、賞賛されるべきは「オール沖縄」で一致結束して選挙戦を戦い抜き、辺野古移設推進派候補者全員を打ち負かした沖縄県民の「英知ある選択」です。

 しかし、これまでの権力側の言動からして、基地の県外移設を巡る闘いは熾烈を極めること明らかです。 沖縄県民が選んだ翁長知事に対する政府の冷淡かつ無礼千万な振る舞いの数々、辺野古への新基地建設費として1000億円以上を計上せんとする一方で来年度の沖縄振興費を削減の方針と報じられています。予想通りの陰険・陰湿な仕打ちの始まりです。

 県知事はじめ県民皆様の前に立ちはだかる権力側の態度は「見せしめ」的所業であり、こうした事がまかり通れば、日本国に真の意味での三権分立、民主主義、立憲主義そして現憲法を貫く3本の柱の一つ、主権在民の原則は機能していないことになります。

 心ある一部の人達を除き、本土に住む私達の多くは「基地問題」に振り回され続けてきた沖縄県民の苦渋の日々を「我が事」として捉えず、見て見ぬふりをしてきたとの指摘に反論の余地はないものと思われます。 今こそ、沖縄の皆様の心に深く寄り添い、沖縄における一連の選挙戦を貴重な教訓とし、「オール日本」を視野に入れた意思集約を模索しなければ、民意を無視して憚らぬ政治を容認・黙認したことになり兼ねません。

 このままでは「基地問題」のみならず「原発再稼働」「憲法改正」の強行突破は目の前です。 更には市場原理を最優先する新自由主義政策断行によって国民の格差が際限なく拡がるのは明らかです。 「TPP」交渉の結果次第で一次産業、とりわけ農業は大打撃を受け、国民の食の安全も脅かされます。

 社会における所得分配の不平等さを示す指標に「ジニ係数」というものがあります。0〜1の数値で示され、0に近いほど「平等」な社会を示し、社会騒乱多発の警戒ラインは0.4とされますが、日本はすでに「危険水域」にあるとさえ言われます。

 これ以上の格差拡大は許されません。 故キング牧師の「最大の悲劇は悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である」との言葉を今一度噛みしめたいものです。

 「きけ わだつみのこえ」に収録されている学徒兵 木村久夫氏(後述)のもう一通の遺書として「真実の<わだつみ>東京新聞版 900円+税」が昨年8月に発刊されました。 絞首刑を目前に控え、その心中を愛読書「哲学通論」の余白に短歌と家族や後世の人へのメッセージが書き込まれています。その想いの一節(P52)に、「全てわれが他より勝れりと考え、また考えせしめたわれわれの指導者及び指導者の存在を許してきた日本国民の頭脳にすべての責任がある」と国民への警鐘の言葉が述べられています。

 川柳作家、故一叩人(いっこうじん)は「頭(ず)が高い主権我らにあると知れ」と詠みました。 主権者たる国民一人ひとりの問題意識、危機意識なくしては「いつか来た道」を辿ること明らかです。 繰り返し引用したいのは、故寺山修司氏の「想像力より高く飛べる鳥はいない。人間に与えられた能力の中で一番素晴らしいものは想像力である」との言葉です。 幸いにも私達には想像力、先を見通す能力が与えられているのです。眠らせておいて良いはずはありません。 政治家に責任転嫁するのではなく、主権者として選挙権の行使を通して次世代に責任を負いたいものです。

* 木村久夫氏(1918〜1946):京大経済学部学生。5月23日、シンガポール、チャンギー刑務所にて戦犯刑死。陸軍上等兵。28歳 

* 哲学通論:田邊 元(1885〜1962)著 西田幾多郎と共に京都学派の代表的思想家。        

* お蔭さまで、昨年10月に「大村市九条の会」十周年記念講演会を開催致しました。 本年も変わらぬご指導とご支援をいただきますよう宜しくお願い致します。

2015年1月13日  大村市九条の会 事務局