ノート、その12

大村市九条の会・2周年記念講演会の報告
土山秀夫先生の講演(2006年10月29日)
演を聞いて
講演日時:2006年10月29日  文責:谷川

 土山秀夫先生をお迎えしての講演会は、時にはユーモアを交えながらも問題の核心をつく事柄を分かりやすくお話しいただけた素晴らしい記念講演会でした。この講演内容をお一人でも多くの方にお届けしたいと、レジュメに従い講演概要をお伝えします。

 紙面の関係で講演内容を全てお伝えできないのが残念ですが、最後まで是非ご一読下さい。この報告書は土山秀夫先生のご了解を得て編集制作したものです。(尚、※は谷川の判断で補足資料として付け加えたものです)

土山秀夫先生は、元長崎大学学長(1988年―92年) 現在「世界平和アピール七人委員会」委員 長崎大学名誉教授 長崎県九条の会共同代表 核兵器廃絶ナガサキ市民会議代表として、核兵器や憲法問題についても日本の平和運動の指導者として精力的にご活躍です。 

改憲(憲法制定)・靖国参拝・核武装
(1) 改憲について安倍総理は6年以内の「制定」を明言。

(2) 安倍氏の総理就任以前における持論と就任後の発言内容の変化。
  1.靖国参拝すべきとの立場→明確な発言を控える姿勢
  2.防御的な核保持は憲法上許される→非核三原則の堅持を強調

(3) その他にも以下の様な重要発言が繰り返されてきた。
  1.先の戦争については後世の歴史家の評価に委ねる
  2.慰安婦問題は狭い意味で強制とするのは作り事である
  3.東京裁判→勝者が敗者を裁いた不当なものでA級戦犯は無罪である

(4) 国会運営上発言を抑えているが、ブレーンが右よりの人で固められており、いつまでこうした発言に終始できるか、今後の動きは来年夏の参議院選挙の結果が鍵になると思はれる。
   1.与党が大勝すれば持論を展開し突き進む可能性が危惧される
   2.現勢力が後退すれば持論を封印せざるを得ない状況になるのではないか

(5)「九条の会」の拡がりは心強いが、「看板」に終わるのでなく「活動」が大切であり、理論武装をして改憲論者とどう対峙していくかが重要である。
  * 制定とは:改定と違い、現憲法の基本条理そのものを変更すること。
  * 非核三原則・・・核兵器を「持たず・作らず・持ち込ませず」

押しつけ論の矛盾
(1) 押しつけられた憲法と言いながら、「改憲」の国民世論を高められずにアメリカの外圧に応じて(便乗して)の改憲論は首尾一貫性に欠ける。

(2) 押しつけ憲法と強調するが、敗戦直後の45年12月に学者・ジャーナリスト6名から成る「憲法研究会」による憲法草案が公表された事実やGHQ(マッカーサー)が日本政府に「憲法草案 」作成の指示をだした経緯があり「押しつけ論」は破綻しかかっている。

 * 先生のお話しにあります「憲法研究会」については法制史学者 小西豊治著『憲法「押しつけ」論の幻』(講談社現代新書:大村図書館蔵)に、『日本人自身が生み出した日本国憲法の核心・・日本国憲法の核心をなす「国民主権の宣言規定」と「象徴天皇」はマッカーサー草案をさかのぼって、憲法研究会案に起源を持っているのである。日本国憲法の核心部分は、憲法研究会が生み出したのであり、日本側のオリジナルな思想が生んだものである』と記述されており、その研究案の冒頭は次の書き出しで始まっている。

憲法草案要項 根本原則(統治権)
1、日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス
2、天皇ハ国政ヲ親(みずか)ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス
3、天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専(もっぱ)ラ国家的儀礼ヲ司ル


外圧便乗の実態
(1) 自民党は党結成直後の55年12月に「憲法調査会」を発足させて以来、自主憲法制定を党是としてきたが国民はその必要性を認めず、加えて党内には戦争経験者も多く賛否両論を併記するにとどまり、82年当時の中曽根首相も憲法は改正しないと発言。

(2) 90〜91年の湾岸戦争でムードが変わりだす。国連主導でのPKO法案の制定で掃海艇の出動などを機に「九条」の改定に動き出し、2000年には衆参両院における憲法調査会が発足する。

(3) アメリカの言い分は日米安保条約前文には集団的自衛権が謳われているのに、それが機能しないのは「憲法九条」が存在するからだという指摘(アーミテジ報告)に改憲論が一気に加速し始める。本来ならば愛国者を自認する人達は「内政干渉」であると反発すべきにも拘わらず、むしろ喜々として受け入れようとしている姿勢には世界から51番目の州入りを目指しているのかとの声さえあがるほどであった。

自衛隊・自衛軍・防衛省
(1) 日陰者のような状態に置くのは「気の毒だ」との考えで改憲論を主張する向きもあるが、54年12月「自衛隊」は自衛権を持つ国家として必要最小限の実力をもつものと定義されて発足、現に第1章〜9章からなる126条の自衛隊法が存在しており社会的に十分認知されている。

 又、アンケート結果でも合憲が違憲の2倍になっている現状なのに、何故改憲の必要があるのかと、彼等の逆手をとって主張してゆかねばならない。

(2) 軍の特質は自律的に肥大・膨張して行くものである。アメリカ大統領に較べ総理大臣の権限は極めて弱く戦前の関東軍の前例が示すようにシビリアンコントロールなど望むべくもない。

(3)防衛庁では貧弱なイメージがあり、予算要求、権限拡大、環境整備の為にも防衛省への格上げを望んでいるが、防衛庁汚職の再発防止などを進めることが先決であろう。

(4) 問題は「日本が攻められたらアメリカの援助が必要である。だから集団的自衛権が認められなければならない」と言うが、「アメリカの戦争に日本が参戦できないのはおかしい」、「アメリカの要求に応える集団的自衛権を発動できること」が本音なのを忘れてはならない。

 * ジャーナリストで沖縄大学客員教授の前田哲男氏の06・11・4付け朝日新聞記事「私の視点」には次のように書かれている。
 1.改正目的は、「省」の名分獲得より「周辺事態」や「国際平和協力業務」を「本来任務化」することにあると見てよい。

 2.法の下克上ともいうべき状態に決着をつけるべく提出されたのが、改正案の本質的部分といえる。自衛隊法の中の矛盾は解消されるとしても、同法の憲法9条に対する「下克上」はさらに拡大する。

 3.「省昇格」が焦点なのではない。核心は、新たに行えるようになる自衛隊の海外軍事活動にある。

「解釈改憲論」の矛盾
 憲法と現実とは余りにも乖離し、かつ解釈改憲には限界にあるのだから改憲をとの主張は一見もっともらしい。しかし、これまでの解釈改憲は決して好ましいものではないが、解釈改憲をやめて集団的自衛権を発揮できる「九条」改定に動くことは国民を危機に追いやることになり、現状の方が数等倍ましと割り切るべきであろう。

 これから先の解釈改憲は認めないけれども、従来のものはそれなりに九条に縛られていたからこそ表だって海外での武力行使ができなかったし、国民の反対が強かったからここまで歯止めになってきたのである。これまで「現実」と乖離しているので解釈改憲は限界と主張していた安倍総理が、最近は「解釈で対応出来るのでは」と言い出し始めたが、これまでの発言とどう整合するのであろうか。

 国民の反発を喰うよりも、新法律、安全保障基本法で集団的自衛権の行使を可能にした方が、国民の抵抗が少ないと早くも逃げの姿勢をとる人さえいる。又、憲法改正だけに目を奪われるのでなく、関連法案にも注意を払うことを忘れてはならない。

改憲論をめぐる世論の危うさ
 各メディアのアンケートの設問は画一的で乱暴な点に問題があることを指摘したい。大方のアンケートでは、改正が(1)必要か(2)必要でないかと問い、85%の人が必要と答えているのだが、憲法をどの程度知っているかどうかの問いには95%の人が、殆ど知らない(52%)、少ししか知らない(43%)と答えているのが実情である。

 憲法をどの程度知っているかによって結果が全く違ってくることは、95年4月に行われた北海道新聞の次のアンケート結果が如実に示している。憲法の内容についてある程度知っている人の77パーセントが改正反対と答え、それに対して余り知らないと答えた人の79パーセントが変えるべきと答えている。

 この二つの結果から、多くの人が憲法について主体的に考えず、「60年経つから」とか他人が言うから「そんなものかな」といった情緒的なものに左右されていると思われる。この結果は、憲法の内容を国民の多くの人に知らせていけば賛否の回答が逆転するという明るい展望が開ける可能性の高いことを示唆しているとも言えるわけで、今後の改憲反対の運動が取りわけ重要であろう。

 もう一つ、各メディアに対してアンケートの際には、憲法のどの条項について改正が必要なのかどうかを問うのが当然ではないかとも指摘をしておきたい。

九条改憲の「えさ」
 加憲を主張する政党が新たに「プライバシー権」「環境権」をとの主張に自民党も賛同して同じ土俵で改憲を目指そうとしているが、現憲法が上記の二つの権利を何も禁止しているわけではない。又、これらの権利を加えたから機能するというものでもなく、不備・不足があれば法律や条例で対応すれば促進できるものである。

 今、ことさらに取り上げて主張するのはこれまでの政治家自らの怠慢をさらけ出すに等しく、恥ずべきことであろう。これは「えさ」であってこの先にあるのは「九条の改定」である。

改憲の先にあるもの

 憲法九条を支えるために制度面で機能しているのは、(1)非核三原則 (2)武器輸出三原則 (3)徴兵制を敷かない (4)攻撃用兵器は造らないの四点である。

 最近核武装についての議論の必要性が云々されているが、メッセージに込められたものは(1)北朝鮮に対する中国の対応強化 (2)アメリカに日米安保条約をきちんと機能させて下さいというものであろうが、本来こうしたものは水面下で交渉されて然るべきである。

 それでなくとも、日本に5,000個の核兵器を作るプルトニウムも技術もあるわけで、こうした発言はやはり日本は核兵器を持つのかとの疑念を世界各国に抱かせ、それなら台湾も核兵器を、中国にもさらなる核兵器の充実をと考えさせ、北朝鮮に至っては破れかぶれになる恐れさえあり、さらなる緊張を生み出す意味で外務大臣の発言は国益を損なう重大なものである。

 70年に内閣調査室が有識者10人に諮問した研究や、95年の防衛庁の検討結果においても「日本の核保有にはデメリットはあってもメリットはない」との結論を出している。これらを知りながらの発言とすれば、個人の信念などで片づけられるものではなく、日本の命運を大きく分かちかねないことである。

 かつて防衛政務次官が同様の発言で辞任に追い込まれたが、今は辞任要求さえ出てこないのが現状であり、国内では保守ムードに傾いてはいるが、海外の目は非常に厳しくなっていることを認識することが大切であろう。

 非核三原則については安倍総理も厳守すると言っているが、経済界から武器輸出三原則の緩和の陳情がなされており、今のところは三木首相時代の一般の国への武器輸出禁止強化方針が辛うじて足かせになっているが、憲法九条が改定されると政治献金とのからみもあり輸出緩和が現実になるのは簡単であろう。

 徴兵制は、九条が改定されてもしばらくは急激な動きは無いかも知れないが、他の歯止めが撤廃されていき兵隊を志願する人が減るなかで必然的に徴兵制に流れていく。憲法改正をよそ事のように考えている若者に本当に軍隊に行く気持ちがあるのかどうか、又、政府の中枢の人達に自分の子弟を本当に軍隊にやる気持ちがあるのかとも問いただしたい。

 * 武器輸出三原則・・・1.共産圏  2.国連決議で武器禁輸になっている国  3.国際紛争の当事国あるいはその恐れのある国
上記に該当する国への輸出禁止をいう

 最初はソフトであっても治安維持法も最初は国家転覆が適用対象だったものが次第に対象を拡大して、一般市民が政府を批判すると投獄されるところまで行き着いた歴史がある。戦後、その治安維持法下で先頭にたっていた特高警察関係者の追放は20分の1に過ぎず、検事はわずか37人、裁判官に至っては皆無である。

 追放を逃れた裁判官が最高裁長官や最高裁判事に就いたのが日本の戦争責任をうやむやにした原因の一つだと言われており、ドイツではドイツ人自身の手によって厳しい戦争責任の追及が行われたのに較べて日本人の曖昧さが際立っている。

 * 先生は核武装論について、すでに七年前に「『日本核武装』という幻想」(朝日新聞「論壇」99年10月27日)および二年前には「論座」04年8月号(長崎市立図書館蔵)で「日本核武装論を排す」と題して核武装肯定論に警鐘をならしておられます。

「狂った世界」と日本国憲法
 アフガン・イラク・パレスチナでの武力紛争は日常茶飯事になり、暴力応酬の繰り返しはいつしか何万人の一般市民が死んだとの報道にも麻痺した感覚になり「可哀相」で終わる麻痺感の恐ろしさが、暴力、武力を使うのは当然だという認識と同時に派生してくる恐ろしさになる。

 こう考えてくると、現在の世界はたぶんに「狂った状況下」にあると言える。しかも「民主主義のため」「平和のため」といった美しいスローガンの下で、おびただしい市民の犠牲者が生み出されている。

 こうした時に燦然と輝いているはずの九条の旗を引きずり降ろし、誇りを棄てて相手に跪き「普通の国になろう」と改憲派は主張するが、むしろ九条の精神に立ち返り世界をリードする気概を持たねばならないはずである。

 99年のハーグでの国際平和市民会議で採択された綱領の第1項で各国議会は日本国平和憲法のような条文を是非採択すべきであると満場一致で決めている。

 それくらい海外の市民団体は日本国憲法を高く評価しているのに肝心の日本人自身が誇りを失って、現実に合わないといって変えようとするのは本末転倒と言わざるをえない。

「九条の会」の網の目
 憲法改定の動きをどう止めるかという問題では、「九条の会」が全国各地に一つでも多く網の目のように立ち上がることが大切であるが、その拡がりと同時に理論武装もしなければならない。

 学習会・講演会などの活動を通じて足下を固めながら60年保たれてきた、それも先人の多くの血潮が流された犠牲の上に成り立った現憲法を守ることが必要である。又、こういう運動では感情論に走るのではなく、言論は火を吐くようであっても頭は冷静でなくてはならない。

 これから一番必要なのは若者をどう惹きつけるか、関心を持たせるかにかかっている。

 国民投票法案が通れば若い人達が投票総数の多数を占めることになる。若者はいったん理解すれば行動力があり素晴らしい能力を発揮するのだが、受け身で自ら進んで何かをという姿勢が乏しいので、そこを大人が動機付けをしてやることが何よりも重要になる。憲法改正阻止の鍵は若い人達が握っている。

※ 関連用語資料
 1. PKOeace−eeping perations 国連の平和維持活動
 2. PKFeace−eeping orces 国連の平和維持軍 
 3. NPTuclear onproliferation reaty  核不拡散防止条約
 4. IAEAnternational tomic nerge Agency 原子力平和利用のための国際機関
 5. NPOon−Profit rganization 非営利民間組織
 6. NGOon−Governmenntal rganiztion 非政府組織 
 7.ABCD包囲網merica riten hina utch(蘭)
 8.世界平和七人委員会 湯川秀樹博士らが参加して1955年に結成。現委員は伏見康治(元日本学術会議会長)、武者小路公秀(大阪経済法科大アジア太平洋研究センタ―所長)、土山秀夫(元長崎大学学長)、大石芳野(フォトジャーナリスト)、井上ひさし(日本ペンクラブ会長)、池田香代子(ドイツ文学翻訳家)、小柴昌俊(ノーベル物理学賞受賞者)の七氏 。

<質疑応答>
(質問1): 「核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ」における外国の参加者の「九条」に対する関心、評価は?
  (答):非常に関心が高く、九条は誇るべきものなのに何故変えようというのか真意が理解できないとの厳しい見方をしている。

(質問2): 国民投票法案では公務員、教員は投票できないとも聞くが?
  (答) :詳細な中味は決まっていないが、(1)投票できる年齢を20才(自民党案)か、18才(民主党案)とするか(2)改憲発議が国会議員の3分の2は高いハードルなので過半数にとの意見もある(3)職業によって投票権が奪われることはないと思われる。平和党を標榜する公明党なので軽々しくは動かないと思うが、公明党がこれらの法案の鍵を握っている。

(質問3): 憲法99条の内容から国会議員は改定発議ができるのかとの疑問を持つが?
  (答): 現憲法に不備があるからより良い方向に変えたいとの主張は許容範囲。

(質問4):基本的人権に関する条項の憲法11条および97条に謳われている「侵かすことのできない永久の・・・」の内容からして永久に変えられないのではとの疑問を持つが?
  (答):改憲派は「権利の主張ばかりで義務が欠けている」と主張し、人権の幅を狭めようと他の項目で制限しようとしている。しかし本来、立憲主義の原則は「憲法は権力への命令書」であるが、明治憲法の残映を引きずっている人達に取って気にくわないのであろう。

(質問5):「靖国参拝」に関連して「国家」という言葉が使われるがその定義は?
  (答):憲法的にいえば統治機構の権力組織をさし、宗教的には戦前に神道が国家そのものと言われ、それを統治するのは天皇であるとされた。A級戦犯合祀は超国家主義者の宮司が戦前のような国家施設にしたいとの思惑の結果であったが、今、遊就館の展示内容が外国から批判を受けて今後どう変わるのか。

(質問6):戦後直後の教育を受けた私達と違い、今の子供達は主権在民・基本的人権・恒久平和の教育を受けていないのだろうか?又、改憲を主張する人達には改憲でどんな得をするのか?
  (答):1.自虐史観の中で卑屈に生きることを強いられてきたとの思いを持つ一部の人達の偏狭なナショナリズム
      2.財界の″死の商人″への願望
      3.都会と地方の格差、若い人に仕事がない等の何となく漂う閉塞感を憲法の所為にしようとしているのではないか。
      4.外国を含め新しい社会を生むのは若者の力によるところが大きい。昔の若者は政治に胡散臭いものを感じて反対の意思表示をしてきたが、今の若者には「気力がない」のではなく、巧みな文教政策によって「そらされた」状態にあり批判勢力の衰退は危険水域にある。

(質問7):若い人達に「九条」の大切さを訴えたいが、「自衛権の問題」、「北朝鮮の問題」を含めどう伝えたらいいのか?
  (答):自衛権について:54年12月の政府統一見解で「国を守るために自衛の権力を有するが集団的自衛は憲法に反する」と明言。

 北朝鮮問題:かつて日本が歩んだのと同じ道を辿る今の北朝鮮を嘲けることができるだろうか。核実験については厳しい糾弾、経済制裁も必要であろうが、北朝鮮の核開発技術は予想以上に高いと思われる今、それが果たして真の解決につながる対応だろうか。それでは北朝鮮を孤立させるだけであり、日本は自らの経験を生かして米国、北朝鮮を諭す立場にあろう。ともあれ憲法は万能ではないので、大事なのはその憲法を大筋できちっと踏まえているかどうかであり、その為には国民も憲法に親しみ、憲法が正しく機能しているかどうかをチェックしていくことが国家の暴走を止めるのだとの信念を持って第三者を説得していくことが私達に一番問われていることではないだろうか。

(質問8): 消費税に見られるように民意に反した政治が行われているのが実態だと思うが、どうしてなのか? 民主主義の生い立ちがヨーロッパと違うとしても、日本の政治には国民の生活を大事にして貰いたいが何故そうならないのか。私達としてはどうしたら変革して行けるのか?
  (答):ドブ板選挙で当選してくる議員と違い、二世、三世議員は利益誘導型の後援会組織で選挙を戦うので民意を汲み取れない。国民も劇場型政治に惹かれがちで、もっと政治に関心を持ち視野を拡げることが大切であろう。議員は安全保障や憲法では票に繋がらないので、公約に憲法を掲げずにいて当選すると民意を得たと憲法改正を主張するのが実態で、核廃絶運動でも挫折感を味うことが多いが、粘り強く一つ一つ克服していくしかない。最終的には陽の目を見る日が必ず来ると諦めずに頑張る必要があろう。

(掲載日:2006年12月11日)