2021年4月25日 「市民と野党のガチトーク U」報告書その2


掲載日:2021年5月8日

「市民と野党のガチトーク U」報告書その2
 
「市民と野党のガチトークU@おおむら」が、4月25日に大村市勤労者センターで開催されました。総選挙での政権交代をめざして、立憲野党の4党の代表者から、いくつかの政策課題や選挙についての考え方を聞いて、意見交流が行われました。この集会には、大村市外からの参加者も含めて39人が参加し、九条の会のメンバーも多数参加しました。


 各政党の代表者は、社民党が県議の堤典子さん、共産党が県委員長の山下満昭さん、立憲民主党が県連副代表の白川あゆみさん、国民民主党が県議の深堀浩さん
でした(順番は当日の紹介順)。 新型コロナウィルスの感染の急拡大のため、白川さんと深堀さんは、急遽、オンラインでの参加となりました。

 以下、各党代表者の発言を中心に集会の内容を報告しますが、急なオンライン設定だったこともあって、スタート時点での音声が聞き取りづらかったため、政策課題にかかわる発言の部分からとなります。※党名は短縮し、敬称は省略します。

1 政治とカネの問題をなくすためには
立憲・白川:政治家一人一人が金額の大小にかかわらず、しっかり意識を持ってクリアにしていかなければならない。選対も含めてしっかり法を守って選挙をするということを徹底しなければ、政治への信頼回復にはならない。参院広島の件では自民党本部から大きなお金が動いている。政党としてしっかり法律に則ってきちんとするべき。

共産・山下:広島の件では異例の金額が一人の候補につぎ込まれた。どういう理由でそうなり、どのように使われたのか、説明されていない。桜を見る会や高額接待の問題を含めて、問題になっている事案の真相解明が政治とカネの問題をなくす出発点になる。
企業献金も問題。企業の活動の目的はもうけをあげることだから、個人が政治信条で行う献金とは異なる。企業献金をなくすことを考えなければいけない。

社民・堤:総務省等の接待問題では、接待の場で具体的な要請はなかったという釈明がされているが、その場で具体的な要請をすることが目的ではなく、官僚や大臣とつながりをつくることで、許認可等の判断の際に有利にはたらくことを期待して接待している。だから、接待そのものをやめなければ癒着はなくならない。企業献金も自社に有利な政策の実現を求めてのものだから、そういう関係はおかしい。

国民・深堀:公職選挙法や政治資金規制法に違反した場合の厳罰化が必要だと思う。違法行為への公民権停止等の処分をしっかり適用すべき。広島の件ではお金を受け取った側がそのまま議員を続けている。お金を渡す側も受け取る側も同罪。公職選挙法違反や政治資金規正違反に対する厳格な措置が必要。

[会場より]
 公職選挙法違反などの場合の厳罰化に賛成。候補者個人だけでなく、所属する政党も立候補できないようにすれば、クリーンな政党が選ばれるようになるのではないか。

 厳罰化すべきという気持ちはわかるが、それが実際にどのような影響を生み出すのかをきちんと考えるべきだ。今の公職選挙法は候補者の意見を市民に伝えにくくなっている。これも様々な規制が必要ということで規制が強められた結果だ。制度をいじったらどうなるのかをしっかり考えてほしい。官僚の人事権を官邸が握ったことや小選挙区制の導入が権力者への権力の集中を生んでしまったと思う。

2 核兵器禁止条約への日本の参加を実現するには
共産・山下:核兵器禁止条約は被爆者や日本と世界の市民の運動が実ったもの。日本政府を条約に参加させるためには、今広がってきている地方自治体の決議をもっと増やして、地方から声を上げていくことがある。同時に、一番の近道は、条約に参加する政府に代えること。野党はみんな条約への参加を掲げている。

国民・深堀:県議会でも改革21で決議案を出した。我々の考え方は皆さんとほぼ同じと理解してもらっていると思う。政府が条約に署名できないというのであれば、オブザーバーでの参加を政府に要請してほしいと主張したが、自公が多数を占める中では、そういう声が通らないというのが県議会の現状。

立憲・白川:核兵器禁止条約への批准を実現するには、やはり選挙で勝つしかない。我々野党の中から一人でも多く国会に出て、批准すべきだという声を届けることが大事。それは地方議会でも同じで、長崎市だけでなく他の市町そして長崎県で、全体としての声をもっともっとあげていくべき。

社民・堤:政府は核保有国と非保有国の橋渡しをすると言いながら、具体的には何もしていない。条約へのオブザーバー参加が橋渡しになる。そういったところからとりくんでいくべき。県議会に提出した決議案に賛成したのは改革21と共産党だけ。しかし個人的には賛成という議員もいるはず。多くの人が声をあげていけば、変えていくことができると思う。

[会場より]
 南島原市と雲仙市では全会一致で、署名・批准を求める意見書が採択された。島原市では4回提案したが、否決された。最後は公明党の議員からも署名・批准を求める提案があったが、県議会が情けない結果になったことで否決になってしまった。

3 エネルギー政策
国民・深堀:カーボンニュートラルの目標が設定されている中で、いかにCO2の発生を抑えていくかこととエネルギー政策は密接に関係する。我々は、原発に頼らない社会を2030年代に実現することを民主党の頃から掲げている。原発の再稼働については、安全性が確認され、地元住民の理解が得られた原発については再稼働を認めるというのが我々のスタンス。そうしないと再生可能エネルギーだけでは今の電力を保つことができないと考えている。

社民・堤:再生可能エネルギーへの転換は世界的流れ。その進め方については、森林を伐採して太陽光パネルを設置するなどの問題も出ているので、環境への影響を考慮すべきと考えている。原発については、私は新設も再稼働も反対。原子力行政はこれまで原子力村だけに通用する論理でずっときていた。事故や不祥事があってもうやむやにしてきた。そうした点をクリーンにしていく必要がある。

共産・山下:一番大事なのは原発ゼロに思い切って構えを定めることだと思う。原発が全く稼働していない時期でも電力をまかなえていた。一定時間はかかるが、原発の新設・再稼働はしないということを明確にして、思い切って自然エネルギーへの転換のために国も企業も力を尽くすことが大事。自然エネルギーへの転換で新たな産業や雇用も生まれる。

立憲・白川:党としては、原発に依存しないエネルギー政策をうたっている。世界が再生可能エネルギーにシフトしている中で日本は遅れているということだが、世界がそう動いているというだけでなく、国民の民意がそうだということも示すことも必要ではないか。国民一人一人が電気利用で再生可能エネルギーを選択することができる制度になっている。そういう形で民意を示すこともできる。私たち政党もがんばりたい。

4 総選挙に向けて
社民・堤:総選挙に向けては、全国的にまだ予定候補を集め切れていない。社民党が小さくなったので大変厳しい状況だと認識している。そういう中だが、選挙区においては、今の政治を変えていくために、立憲野党の皆さんや市民の皆さんと力を合わせて、選挙に臨んでいきたい。

国民・深堀:衆議院選挙なので、政党の生き残りをかけた選挙になる。野党が共闘するというのは抽象的ではあるが、その内容は本部で議論している。地方からどうするという声はあがっていないのが実情。

立憲・白川:2〜4区で予定候補を決めて動いている。まずは立憲民主党がしっかり候補者を支援し、支持を伸ばしていくことにがんばっているところだが、来たるべき時には、野党共闘や皆さんに協力をお願いしながら、全野党の力を結集して勝利したい。

共産・山下:我々野党にとって大事なことは、管政権が代わっても安心できる別の政権があることを国民に示していくこと。それぞれの野党が違いを捨てて一致点に基づいてこういう政権をつくるということを合意し、どのように選挙協力をするのかを急いで協議することが必要。

[会場より] ※選挙に関連する発言のみ
 管政権に代わる受け皿がないことを危惧している。管政権はなんとしても退陣させないといけない。野党として統一できる争点を早くつくってほしい。個人的に考えているところでは、核兵器禁止条約、選択的夫婦別姓、エネルギー政策など。何であれば国民に一番響くか考えてもらいたいし、お互い譲り合って、なんとか一致点をつくってほしい。

 米中対立が深まる中で、日本が戦争に引きずり込まれる危険が高まっている。「戦争をしない」「話し合いで解決する」「アジアの人々との共存共栄」等を是非政策に入れ込んでほしい。

<感想>
 コロナの感染の急拡大を考慮して開催時間が短縮されたこともあって、共闘をどう深化させることができるかという議論ができなかったのが残念ですが、意見交流の中であった「細かく言えば一致できないところもあると思うが、一致点を探して、そこだけは守ろうというところをつくれないか」「あいまいな部分を無理矢理まとめてしまうのではなく、とにかく弱い者の立場に立つ形で一致してもらいたい」という発言が、多くの参加者の思いを代弁していたと思います。 (文責:馬場 隆)

2021年5月8日 掲載