2008年10月5日開催 大村市九条の会、「憲法を守る集い」の報告


2008年度 第4回「憲法九条を守る集い」報告

講師:長崎大学准教授 富塚 明先生
演題:とめよう!自衛隊の海外派兵  歩もう!平和のロードマップ」


 2006年12月に「教育基本法」が改正され、続いて07年5月には「日本国憲法改正手続きに関する法案(略称:国民投票法案)」が可決成立したことは記憶に新しいところですが、今や護憲運動の外堀が埋められ、本丸にも火の手が迫っている状況と言えます。

 つい先日、自衛官二人のスーダン派兵が決定され、その先には陸上部隊の派遣も視野にあることを示唆する報道があり、加えて「集団的自衛権、海外派兵恒久法に対する議論を」との首相の発言が相次ぎ、これらは明らかに「憲法九条」の形骸化を狙ったものと言わざるを得ません。 

 憲法九条が間違いなく危機的状況に直面しているとの認識に結びつけばと今回の講演内容を企画したところです。

 一般には日米安保条約(日米同盟)は米国が日本を守るかのように受け止められているきらいがありますが、日本を守るものではなく、単に米国の軍事的世界戦略上の一環に過ぎないこと、又、第二条には「経済的協力を促進する」と謳われ、その結果として農業を始めとする第三次産業の経営が極めて困難になり、現在の食料自給率の減少につながっている因果関係を改めて認識することができる講演でした。

 日本政府は核保有、核実験始め「米国の二重基準(ダブルスタンダード)」を見て見ぬふりに終始し、米国・ロシアなどの核保有国に較べ問題にならない数の核しか保有していない北朝鮮の核脅威だけを恣意的に強調しているのではとの鋭く且つ核心に迫る質問が出されました。

 その事実を裏付けるかのように、つい最近NSG(原子力供給国グループ・加盟45カ国)の危惧表明にも係わらず、NPT(核不拡散条約)に非加盟のインド(パキスタン・イスラエルも非加盟)に対して米国は原子力ビジネス優先を選択しました。

 これに異を唱えることもせず米国の戦略を唯々諾々と追認する日本の姿勢が果たして主権国家としてあるべき外交政策と言えるのでしょうか。 改めて日本が米国に「No」と言えない国であることを世界に発信すると共に、北朝鮮、国際テロの脅威をどれほど煽り国民感情を操作しようとも、「憲法改正」の動きが米国追随の流れに添うものであることを明白に裏付けました。

 先生が最後に示された「平和へのロードマップ」を夢で終わらせないために、「大村市九条の会」はこれまで以上に地道な活動を通して「平和希求の輪」をさらに拡げて行きたいと思います。(文責:谷川)


(掲載日:2008年10月12日)