2011年度 第5回「集い」報告書


2012年3月11日開催、2011年度・第5回「集い」報告書
  2011年3月11日、午後2時46分。東日本大震災により発生した東京電力福島第1原発事故から一年が過ぎました。「大村市九条の会」は震災一周年のこの日に「原子力発電所の事故」を取り上げた「チャイナ シンドローム」を上映しました。1979年のスリーマイル島原発事故の12日前に一般公開された映画です。

** 2時46分。映画を中断、全員起立の中で被災地に向け、それぞれの想いを込めて黙祷を捧げました。

 1966年、日本初の原子力発電所、東海発電所が稼働しました。以来、将来の化石燃料の枯渇に備え、「原油依存からの脱却」を掲げ、原発は安全が二重三重に担保され、更に「安価」「地球環境にも優しい」との謳い文句で原子力行政は進められてきました。

 しかし、当日のテレビ映像は想像を絶し、自然の猛威の前では人間が如何に無力かを実感させられました。これまでの40数年間、原発推進を担った、政治家、科学者、メディアの責任は極めて重いが、一方、柏崎 原発を機に始まった電源三法交付金や寄付金・核燃料税などの原発マネーの恩恵に浴し続けてきた自治体の姿勢も問われて仕方のないところでしょうか。

  片や、村八分を覚悟の上で「安全神話」に警鐘を鳴らし続けた良心的科学者の皆様や、原発立地の地元始め全国各地で「反原発」を掲げて運動を続けてきた多くの人達が存在し、運動の裾野は拡がりをみせています。 真に問われるべきは国民一人一人の「原発が抱える問題の深刻さ・原発推進派の裏事情を見抜く力」「反対の意思表示を粘り強く続ける」ことではないかと思われます。

 MOX(プルトニウム、ウラン混合物を燃料とする)使用する「高速増殖炉・もんじゅ(福井県敦賀市)」も事故が相次ぎ、青森県六ヶ所村の「核燃料再処理施設」では試運転終了の延期(18回)が続いています。

**3月14日、日本原子力研究開発機構は福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」で、2次系ナトリウムの漏えい検出器にトラブルが生じ、測定値を確認できない状態になったと発表した。原子力機構は保安規定の逸脱にあたるとして国に報告した。ナトリウムや放射性物質の漏えいはないという。

  現在の科学技術では「核燃料廃棄物」を完全にコントロールし再処理するに至っていません。 ましてや、「日本だって核実験やればいい。プルトニウムは山ほどある」との石原都知事発言「原発は潜在的核抑止力」との「読売社説」「石破 茂前自民政調会長」発言が続くのは極めて異常であり、「日本国憲法の平和主義」を否定するものに他なりません。

  「電気が不足し、生活が不便になる。企業が外国に流出する。それでも良いのか」という脅しにも似た経済優先の二者択一論ではなく、「生命の危険、人類の未来」という「倫理上の問題」として論議されるべき問題のはずです。

41名の参加者から出された意見、感想文を要約して以下の様にご報告致します。
  (1)国民もお金に惑わされないことが大事。原発マフィアの悪徳利権集団はお金のためなら何でもやる。原子力産業に巣喰っている日本の原発マフィアも同じ。
  (2)日本の原発の実状が少しも明らかにされていない。情報を100%公開して欲しい。
  (3)もっと太陽エネルギーなどの自然エネルギーを開発し、安全性に重点をおいて欲しい。

  (4)資本主義の恐ろしさ,金稼ぎの凄まじさや浅ましさを見たが、このような映画を製作する、製作できることにアメリカの良心も感じた。
  (5)メディア操作の恐ろしさを考えます。アメリカ映画的で個人の行動にスポットを当てていますが、現実はもっと複雑な絡み合いがあるはずです。
  (6)原発立地周辺では事故発生時の対応について頭を痛めているが、原発を止めれば問題は解決する。
  (7)九電の原発を止める裁判が起こっている。こうした行動に一人でも多くの人に参加して欲しい。
 参加者の総意は原発に代わるエネルギーへの転換を求める意見に集約されました。

事務局より  4月中旬には2011年度の会計報告と2012年度第1回「集い」の案内をお届け致します。 平和憲法を守り抜くためには皆様方のご支援と「大村市九条の会」の会員拡大が不可欠です。

 ご家族、ご友人始め周りの人達への呼びかけにご協力下さい。  「大村市九条の会」事務局も皆様方に参加いただけるような企画を心掛けてまいりますので、身近な平和市民運動としてこれまで同様に宜しくご指導下さい。  皆様方のご多幸、ご健勝をお祈りして一年間お寄せ頂きましたご厚情へのお礼と致します。2012年3月15日  「大村市九条の会」事務局

(掲載日:2012年3月19日)