2012年度 第2回(通算46回)「集い」報告書


2012年7月14日開催、2012年度・第2回(通算46回)「集い」報告書
 九州地方を襲った豪雨。気象庁は大分、熊本地方に「これまで経験したことのないような大雨」と報じました。 長崎にも大雨注意報が出されており、「集い」の開催が危ぶまれましたが、幸いにも午後からは曇り程度の小康状態が続き、23名のご参加をいただきました。開会前と休息時間の会場には「ザマナイ 〜時代よ!〜」の映像と音楽が流れました。

 *「ザマナイ 〜時代よ!〜」: 旧ソビィエト支配下のカザフスタンにおいて40年間に亘り500回近い核実験が秘密裏に行われ、チェルノブイリを遙かに凌ぐ大量の放射性物質が放出され、120万人とも言われる周辺住民が被爆しました。   ペレストロイカを機にカザフスタン全土で200万人が抗議行動に参加。「ザマナイ 〜時代よ!〜」はこの運動で多くの人達に勇気を与えた歌です。  「ザマナイ」は「ああ 時代」という意味で、「なんという酷い時代」との意味が込められています。

  「ザマナイ 〜時代よ!〜」はネットもしくはYou Tubuで検索いただくと詳細および画像、音楽を視聴できます。

 
今回の「集い」は、4月27日に提示された自由民主党の「日本国憲法改正草案(現行憲法対照)」および4月25日に提示された、たちあがれ日本の「自主憲法大綱(案)」を資料にした学習会でした。

 *「日本国憲法改正草案」は自民党ホームページで、「自主憲法大綱(案)」は同じくネットで全文を検索できます。是非アクセスいただき両改正案にお目通し下さい。

 自民党の憲法改正草案前文は「日本国は・・・天皇を戴く国家であって・・・」とあります。現憲法前文は「日本国民は・・・」です。前文の比較で両憲法の根本的な違いが明瞭です。 前文を含む改正草案にも「主権在民」「基本的人権」「平和主義」という現憲法の精神を象徴する文言の表記はありますが、必ずその後にそれらを制約し、拡大解釈が可能な但し書き的な文言が付随しています。  その例をあげます。(これらは本の一部です)

 (1)第二章「安全保障」第2項において「全項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と釘をさします。
 (2)第三章「国民の権利及び義務」の項では第十二条「国民の責務」において「これを乱用してはならず、・・・公共及び公の秩序に反してはならない。」と歯止めます。
 (3)第二十条「信教の自由」が謳われますが、第3項で「・・・ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りではない」と解釈拡大を担保します。

 今回の「集い」では時間的に「前文」「天皇」「安全保障」「国民の権利及び義務」「憲法改正」の各章についての入り口の意見交換しか出来ませんでしたが、改定草案百二条に続く「付則」までの各改正条項には「改定草案前文」に集約されている「国のあり方=万世一系の天皇を頂点とする国体」の基本方針が貫かれていることを参加者全員で確認しました。

  両改正案に巧みにちりばめられた「主権在民」「基本的人権」「平和主義」等の言葉に惑わされてはなりません。 改憲派の目指す国家は「個人より全体=国家」であり、勝ち組負け組の「自己責任=自助」です。特注すべきは「改憲」されれば、憲法第二章「戦争の放棄」の下で存在する「自衛隊」と違い、「憲法」の後ろ盾を得る「国防軍」の誕生です。戦後生まれが大半の国民には経験のない「軍の論理=一定の強制力を伴う権力」が横行することは明らかです。 「改憲」に伴う日常生活の一つ一つの変化を「イメージ」することが必要ではないでしょうか。

  原発事故と同じです。「改憲」されれば終わりです。後戻りはできません。  参加者からの発言が相次ぎ、自らの「護憲」に止まることなく、周りへの「護憲」の拡大が急務であることを再確認する「集い」となりました。

<参加者の感想文>
 (1)日本国憲法が如何に素晴らしいものでもそれは国内の事です。強者が弱者から物を取り上げることにならないか心配です。米国、国連が頼りにならないなら軍事力、核兵器が必要だと考える強行意見の人もいるでしょう。
 (2)今の天皇がやっている仕事は議会の議長がやれば良いと思います。
 (3)国歌はせめて歌詞だけでも変えなければと思います。
 (4)九条の会の会員個々が地域で改憲反対の世論を拡げることがいよいよ大切です。
 (5)憲法が変えられたら私達の生活にどのような影響がでるのかをリアルに体験できる企画を。(伊藤千尋氏の活憲に関する話し)

事務局より
 次回「集い」は9月30日(日)を予定しています。 内容については改めてご案内を致します。 「大村市九条の会」を今後とも宜しくご支援、ご指導下さい。2012年7月18日

(掲載日:2012年7月18日)