休  憩  室


詩人会議のシュプレヒコール
(この詩は、掲載に当たり原作者の許可を得ています)

  詩人会議のシュプレヒコール

九条で世界を照らせ!

作・演出 秋村宏
朗読 葛原りょう
    鈴木文子
    美異亜


憲法は空気

汚れのない空気だ

わたしたちは五九年間 吸ってきた


吸いたくないと思ったか?

NO!

息ぐるしくなったか?

NO!

汚れているのか?

NO!


わたしたちは五九年間 生きてきた

そうだろう

わたしたちは五九年間 戦争をはじめなかった

じぶんの手でほかの国の人間を殺さなかった


人は

平和のなかでこそ

平穏と笑いをもてる

飢えがない

いや すくない

破壊がない

いや すくない

国と国の境をなくしたい

いや できたらいい


夢を追うのがあなただとしたら

あなたは日本国憲法そのものだ


わたしたちの議論は

統制されないものがいい

わたしたちの集会は

自由にふるまえる場所がいい

わたしたちの歌は

「君が代」でないものがいい

わたしたちの旗は

血で汚れた日の丸でないのがいい


わたしたちは五九年間

この国の主人公だ

わたしたちは政府に命令することができる

わたしたちは平和を望むといった

わたしたちは専制と隷従 圧迫と偏狭は除くといった

わたしたちは恐怖と欠乏から免れたいといった

わたしたちは永久に戦争を放棄するといった


五九年間 それがわたしたちの背骨だ

いや 空気だ


あなたも、そうだったのではないか


恋も友も妻も夫も子どもも

仕事も

孤独も愛もつながりも

川も木も空もけものも街も

すべて平和らしさのなかにあった

けれど戦争はいくども起こり

人間の尊厳を守るために

わたしたちはたたかった


テレビで あるアメリカ人がいっていた

大統領選に立候補できるのは

莫大な選挙費用を集められる人だけ

ブッシュ大統領のスポンサーは軍需産業と石油産業と宗教界

お礼をするには

戦争をするしかない と


再選されたアメリカ大統領は戦争をするしかない

小泉首相はその真似をするしかない

日本にあるアメリカの軍事基地を笑って守るしかない

かれらは憲法九条二項が嫌いだ

かれらは世界のどこへでも派遣する軍隊

戦争をしにいく軍隊をもっている

そういって胸を張りたいのだ


かれらの考えはわかりやすい

国民を主人公にしたくない

個人の権利は制限されてもいい

国家が国民を統率すればいい

いろいろな考えかたがあるより一つがいい

その方がわかりやすくていい


かれらは「正義」という看板をかかげて

資本の在庫を売りさばく番頭だ


陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。

国の交戦権は、これを認めない。日本国憲法。

常設の組織としての軍隊はこれを禁止する。

コスタリカ共和国憲法。


想像力はすべて現実から出発する


さあ みえないものをみよう

いまわたしたちがみたものを

きいたものを

その意味を明らかにしよう

多くの人にむかって

わたしが探りだしたものです 

そういって差しだそう


平和から戦争へ

政府・与党が歴史をまげようとしている時

わたしたちは生きている証人だ


  権力行使者へ

未来に戦争をおくことの貧しさよ

言葉にどんな花を咲かせようと

死をまんなかにおくことの虚しさ

いまかれらは笑っているが

平和のまえでは孤独にみえるよ


あなたは 怒ってもいい 悲しんでもいい

笑ってもいい 喜んでもいい

茶化してもいい けんかしてもいい

静かでもいい 軽々しくてもいい

短くてもいい 長くてもいい

散らばってもいい 凝縮してもいい


わたしたちはそうして 五九年間

空気を吸ってきた

言葉を信じてきた


それぞれのちがった言葉は美しい

それぞれの平和を語る言葉が美しい

それぞれの戦争を認めない言葉は美しい


九条を世界へ差しだそう!


その光りが世界に届くのは

わたしたち自身が輝いた時だ

わたしたち自身が輝いた時だ

わたしたち自身が輝いた時だ


わたしたちはいつまでも国の主人公

そのなかの一人の人間だ

そのなかの一人の人間だ

あなただ

わたしだ

わたしたちだ

 

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