大村市九条の会

会報 第13号

発行:2006年6月
おろろおろろ

佐伯徹夫

つよくない人間もいるのだ。
自分の弱さに 泣いている人間もいるのだ。
戦争に行ったら
多分 真っ先に逃げ出し、
どこかのトイレの片隅にでも
坐り込み
しょんべんをべちょべちょ垂れ流し
恐怖で縮こまり
そのまま気を失い
気がついたら
軍の留置場に入れられており
そこでもまたぐしゃぐしゃめそめそ泣きながら
拷問を受け
イタイイタイと叫びつつ
結局 最前線へと送り出され
機関銃弾か砲弾か地雷か何か知らないが
肉体がみじん切りにされるのがオチの
弱い弱い人間もいるのだ。
そんなことを空想するだけで

走ってくる電車にでも飛び込みたくなるような
弱い弱い人間は
五十五年間
戦争をさせなかった
憲法の条文と平和勢力の力を
一番身にしみて
ありがたいありがたいと 陰で思い 感じ
人を殺すよりは自分が殺された方がまだいい などと
殊勝なことを 時には思い
でもやっぱり やだと
思わずもおろおろとしてしまい
平和な世界の中の隅の方にと
自分の居場所をやっと
みつけている そんな
弱い弱い人間もいるのだ。

この日本にはたくさん。

※詩人会議の方の作品です。

 心ならずも「君が代」を歌わざる得ない状況に置かれた人々のためにこの歌が心の中の抵抗を支える小さな柱となることを願って以下の替え歌がつくられたとインターーネット上に見つけました。そのリンク先「替え歌」からの引用です。(発声は(ほぼ)そのまま、でも歌詞の意味をガラリと変えた君が代の替え歌。 英語が読めないときはフリガナにそって歌ってください。)

替え歌 その1<Kiss Me>

き  み が  あ よ  お  わ
kiss me, girl, and your old one
ち  よ  に い い や ち よ  に
a tip you need, it is years till you're near this
さ   ざ  で   い  し  の
sound of the dead "will she know
し わ お と な り  て
she wants all to not really take
こ  け の  む う す う  ま あ で
cold caves know moon is with whom mad and dead"

: 僕にキスしたら君のその古臭いジョークにも(サヨナラの)キスをしておやりよ。君に必要な忠告をあげよう 死者たちのこの声が君に届くまで何年もかかったんだよ。

 「国家ってのは本当に奪ってはならないものを欲しがるけど、そのことに気がつく日が来るんだろうか?

 冷たい洞窟だって知ってるんだ。 (戦争で傷つき)気が狂ったり死んでしまった人たちを。お月さまはいつも見てるってことを」。