大村市九条の会

会報 第15号

発行:2006年10月
構想から9年もの歳月を経て出版された『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』。

 著者が、日本国憲法の前文と第9条を優しい言葉に書き直し、いわさきちひろの絵とともに絵本にして平和憲法の精神を表現した「憲法のこころ」。

 そして、日本国憲法の考え方や重要な内容について、著者が小学生たちに直接話して聞かせた内容を再録している「憲法って、つまりこういうこと」の2部構成で、教科書を読むだけでは分からない憲法の意味や重要性が理解できる、“井上ひさし版憲法入門”ともいえる作品だ。

「この憲法ができた時の感動を伝えればいいんだ、と気づいたことでしょうか。 

 昭和21年(1946年)に日本国憲法が発布された時、僕は国民学校、今の小学校の6年生でした。その時、これからは戦争のない世の中になるんだと、僕たちがどれほど感動したか……。その思いを、今のお子さんたちに伝えればいいんだという意識になった時、完成形が見えてきました」

 井上ひさし/文 いわさきちひろ/絵(講談社)

 例えば、交戦権を否認した九条の後半はこう書かれている。

 「どんな国も自分を守るために/軍隊を持つことができる/けれども私たちは/人間としての勇気をふるいおこして/この国がつづくかぎり/その立場を捨てることにした/

 どんなもめごとも/筋道をたどってよく考えて/ことばの力をつくせば/かならずしずまると信じるからである/よく考えぬかれたことばこそ/

 私たちのほんとうの力なのだ/そのために、私たちは戦(いくさ)をする力を/持たないことにする/また、国は戦うことができるという立場も/みとめないことにした