憲法改正および憲法に深く係わる報道(2014年3月分)


掲載日:2014年4月19日

憲法改正および憲法に深く係わる報道(2014年3月分) <参考資料>
主に「NHKニュース」、「朝日新聞」の見出しを備忘録としてまとめたものです。今後ともご活用いただければ幸いです。

1、 集団的自衛権 
1)「戦争をさせない1000人委員会」が発足。解釈改憲による集団的自衛権行使容認の阻止をめざす。(3月4日)

2)坂田元法制局長官(04〜06年)の発言要旨 (3月6日:日本記者クラブでの会見要旨)
  憲法解釈の変更を、「憲政の王道ではない」と批判し、集団的自衛権の行使容認により自衛隊による海外での武力行使が可能になれば、「憲法九条は何を禁じているのかということになり、法規範として何の意味もなくなる」と指摘。 更に、「内閣の判断で変えれば、国会での質疑などどうでもよくなる。国の大きな政策の転換をする場合には、正規の改正手続き踏むべきだ」と強調。

 内閣法制局の役割については「法律の専門家として、内閣に意見を述べることであり、これまで、その意見は尊重され、無視されることや『考え直せ』と求められたことはなかった」と述べる。 また、13日の参院予算委員会の公聴会で、「集団的自衛権の行使をする必要があるとすれば、憲法を改正してやってほしい。(中略)国の形を変えることを簡単に一内閣が言って成り立つのなら、議会制民主主義とは何だということだ」と語る。

3)秋山 収元内閣法制局長官(02〜04)の発言要旨
 麻生氏の「ナチスの手口に学んだらどうか」との発言は、「表面的には法にのっとった形で憲法の根本的な規範を変えてしまう解釈改憲の道を示唆していたのではないかと感じる。(中略)憲法を変えずに集団的自衛権の行使ができるようになれば、憲法9条は存在しないも同然となる。(中略)現在の政権は、良質な権力に必須な『謙虚さ』を欠いているように思われる」と語る。(3月18日)

4)自民党内にも行使容認に慎重論
 谷垣禎一法相は記者会見で憲法解釈による集団的自衛権の行使について、「憲法解釈があまりに不安定だと国家のあり方そのものも動揺してしまう。憲法解釈は極めて安定性がある必要がある」と慎重な考えを示す。 「特に憲法解釈は国民の理解を取り付ける必要がある。手順段取りを踏むことが大事だ」とも強調。

 脇雅史自民参院幹事長は「何をするために集団的自衛権を行使しようとするのか、具体性がやや欠ける。党内でも十分煮詰まった議論が出来ていない」と首相を牽制(3月7日)。

 また、同幹事長は16日のNHK「日曜討論」で、集団的自衛権の行使は「9条と本質的に相いれない」と表明。(3月17日)

 村上誠一郎元行革担当相も自民党懇談会で「(前略)イラク戦争のように間違った情報に基づく戦争に加担して誰が責任を取るのか」と解釈改憲論を厳しく批判。(3月17日)

5)集団的自衛権の行使容認に向けた政府の素案が判明。
 実際に行使する場合、原則として自衛隊を他国の領土、領海、領空には派遣せず、活動範囲 を限定する方向で検討しているという。ただし、行使の具体例は明記せず、首相の国会答弁などで示すことにとどめる意向のため、 「行使の歯止め」があいまいで、公明党の理解が得られるか不透明だ。

6)公明党 井上義久幹事長が反論
  安倍首相がめざす解釈改憲による集団的自衛権の行使について、「個別的自衛権で十分に対応できる部分が多いのではないか」と反論し、「公海上で攻撃を受けた米艦船の防護など、政府が想定する事例は、周辺事態法など現行法で対応できる」との考えを示す。(3月30日)

2、教育問題
1)安倍政権は領土教育を強め、政府の考え方をよりはっきり教科書に書かせる仕組みに取り組み、脱「自虐史観」により戦後教育体制からの脱却を目指す教科書制度の見直しに踏み出す。具合的には「学習指導要領の解説改定」や「検定基準の厳格化」によって「近隣諸国条項」を骨抜きにして、教科書の記述を変えさせようとするものである。(3月1日)
 近隣諸国条項とは:「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事の扱いに、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」と義務付ける規定。

2)道徳教科化の議論始まる:文科省の中教審と教育課程部会は道徳教育の目標、内容、指導方法、評価について議論していくことになる。評価を「入試選抜の重要な指針にすべきだ」と入試にまで活用する意見が出される。(3月4日)

3)竹富町に教科書変更を強要:育鵬社版公民教科書を押し付ける「是正要求」。(3月14日)

上記以外の重要報道
1)アーミテージ氏 靖国参拝を批判:安倍首相の靖国参拝は「中国を喜ばせたことは間違いない」と述べる。(3月1日)
2)安倍氏の「歴史修正」を再批判:ニューヨーク・タイムズは「日米関係にとって、より一深刻な脅威となりつつある」と強く警戒する社説掲載。(3月4日)
)武器輸出原則の見直し:三原則に代わる武器輸出管理原則について、公明党の反対を受け「紛
争国禁止」は削除せず。(3月6日)

)慰安婦隠蔽工作の公文書を発見:法務省の1962年の調査報告書によると、元兵曹長は270人を慰安婦としてバリ島に連れていったと証言。(3月8日)
5)教育委員会制度の抜本改革案 自公が合意:政治主導教育 今国会で成立へ。(3月13日)
6)「はだしのゲン」回収:大阪・泉佐野で「差別的表現」理由に教委に回収要請。(3月20日)

7)佐世保拠点に水陸両用車配備も:自衛隊の「海兵隊」化を打ち出した新防衛大綱に基づき、佐世保市の崎辺地区に配備し、これを運用する「水陸機動部隊」を同市の陸上自衛隊相浦(あいのうら)駐屯地に創設する方針を固め、佐世保市に伝えた。(3月24日)
8)袴田事件 再審決定:静岡地裁は証拠ねつ造認定。48年ぶり釈放。(3月27日)

 

2014年4月19日  大村市九条の会 事務局