憲法改正および憲法に深く係わる報道(2014年5月分)


掲載日:2014年6月14日

憲法改正および憲法に深く係わる報道(2014年5月分) <参考資料>
主に「NHKニュース」、「朝日新聞」の見出しを備忘録としてまとめたものです。今後ともご活用いただければ幸いです。

法制懇報告書・・・憲法より安保優先
 首相の指摘諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」報告書全文が明らかになる。他国を守るために武力を使う集団的自衛権の行使は、憲法九条の定める「必要最小限度」の自衛権の範囲内だとし、これまでの憲法解釈を見直すよう求めている。(5月14日)

有識者2名の評(抜粋)(5月16日紙上)

 石川健治東大教授(憲法学)  ひとたび渡れば引き返せないルビコン川を渡るに等しい選択。もつれた糸を引きちぎる暴走。

 五百旗頭(いおきべ)真、熊本県立大理事長(元防衛大学校長)
 憲法改正は簡単にできることではない。そのため政府の憲法解釈について、妥当性を失ったものを変えることは当然だ。・・・良識をもって国際安全保障への参加を堅持することが必要だ。 一方で、首相自身がかねてより抱いている自己愛に偏した歴史認識については心配している。視野狭小な国家主義なのではないかという懸念を持たれてはならない。

1 その他の解釈改憲に関する賛否両論、有識者発言の一部抜粋です
反対発言
1)森英樹氏名古屋大学名誉教授:安倍政権は、米国の要望を超えて日米対等を求めている節があり、その背景には靖国歴史観があります。(5月2日)
2)寺田逸郎最高裁長官:国民的な議論に委ねられるべき課題だと考える。(5月3日)
3)杉田敦法政大学教授:多数決で決める法律とは別に憲法がある。拙速に流れがちな政治に対して、遅延を狙っているわけです。(杉田)  
  長谷部恭男早稲田大学教:はい。ゆっくりみんなで考えましょうと。それが立憲主義の最も大切なところです。(5月3日:両氏の対談より)
** 両氏対談の続きは5月25日の朝日新聞(3面)にあります。
     
4)ペシャワ−ル会中村哲代表:自衛隊が来たら逃げねばならない。武力を使う日本に対する敵意が、アフガン人の中に生まれてしまう。活動は危険になる。(5月17日)
5)坂田雅裕元内閣法制局長官:九条二項は交戦権を認めていない。どう解釈すれば合憲と言えるので しょうか・・・法的理論で説明できない解釈をするのなら、法治国家、 立憲主義の看板をおろしたほうがいい。(5月17日)
** 他に反対意見多数あり   

賛成発言
1)石破茂自民党幹事長:憲法のどこにも「集団的自衛権を禁じる」とは書かれていない。将来、多国籍軍への参加の可能性にも言及。(5月17日)
2)森本敏元防衛大臣氏:隣の火事を一緒に消すことで、自分の家を守るというのが集団的自衛権の行使だ。・・・これで日米同盟が強化される。(5月17日)
3)柳井俊二・安保法制懇座長:湾岸戦争で挫折感。多国籍軍不参加「政策的な判断」(5月18日)

4)橋下 徹日本維新の会共同代表:限定的な集団的自衛権の行使を新たな憲法解釈として容認する。しかし、・・・憲法判断をしやすくする裁判所法の改正もワンセットで実現すべきだ。(5月27日)
5)浅尾慶一郎みんなの党代表:九条に自衛権を書き込むのが一番いい。・・「限定的に認める」とい う政府の説明はおかしい。・・行使するかしないかかの二つしかない。逃げずに議論し、決めていくのが政治家の役割だ。(5月27日)
** 他に賛成発言多数あり

上記以外の関連事項
1)美智子皇后陛下、五日市憲法の意義を語る。(2013年10月20日。79歳の誕生日に際し)近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたことでした。(5月4日)
** 五日市憲法(別名:日本帝国憲法)、起草者は千葉卓三郎:明治前期に東京・西多摩の教師や 商人ら数十人がまとめた「私擬憲法」といわれるもの。当時、各地で100以上つくられた。

2)野田聖子自民党政調会長(8日発売 雑誌「世界」6月号)
  「武力行使ができるとなれば自衛軍は軍になる。軍隊は殺すことも殺されることもある」「国政情 勢という大きな状況と、人を殺す、人が殺されるかもしれないというリアリズムを語るべきです」

3)NYタイムズ紙社説
 安倍首相に対し、「憲法の最も重要な機能は権力のチェックだということを知るべきだ」と強調し、「政府の気まぐれな思いつきで変更できるものではない。さもなければ憲法などわざわざもつ必要などない」と主張。(5月8日)

4)創価学会、反対の見解:「一内閣の閣僚だけによる決定ではなく、憲法改正手続きを経るべきだ。 これまでに積み上げられてきた政府見解を支持する」と明言。(5月16日)

5)葛藤する自衛隊員:「死ぬ可能性は今よりも高くなる。でも、戦争で死ぬのは我々の任務。賛成か 反対かと聞かれれば、賛成です」(関東の20代の陸上自衛隊員) 「他国の戦争に加勢するのが自衛隊の任務とは思えない。人を殺さず、助ける だけの軍隊でいいじゃないか」(大阪 30代の陸上自衛隊員)    

6)集団的自衛権 審議先送り:政府・自民党は集団的自衛権に関する法案の審議を、来春の統一地方 選以降に先送りする方針を固めた。(5月19日)
   
7)横畑裕介新内閣法制局長官が参院外交防衛委員会で初の国会答弁。
  日本維新の会のアントニオ猪木氏の質問に対して、集団的自衛権を憲法上認めていない従来解 釈について、「他国に加えられた武力攻撃を実力でもって阻止することを内容とするもので、そのような武力行使は憲法上ゆるされないとしている」などと説明。(5月20日)

8)日本維新の会 分裂:自主憲法制定にこだわる石原慎太郎氏に対し、橋下徹氏は野党再編を優先し 分党。橋下「維新の会」と「結の党」との合併がほぼ固まる。(5月28日)

2 教育関係
1)竹富町、単独採択を要請:石垣市と与那国町は「地区変更に反対」を表明。(5月8日)
2)教委見直し案 衆院通過:地方教育行政法の改正案が可決。首長権限を強化。(5月20日)
3)竹富町教科書 分離を決定:沖縄県教委は竹富町の単独採択を今年度から適用する。(5月21日)
** 文科省、竹富町への訴訟を見送ることで決着。

上記以外の主な事項
1)機密保護法有識者会議の議事録あった:記録廃棄と主張していた外務省が保有。(5月4日)
2)国民投票法改正案が衆院本会議で可決:自民、公明、民主、維新、みんな、結い、生活の7党の 賛成多数で可決。今国会中の成立が確実。(5月8日)
** 4年後に投票権を現在の20歳から18歳に引き下げ、改憲手続整備を優先。

3)日本の「秘密法」は悪い:東京で開催のシンポジウムで米政府安全保障会議の元メンバーの高官は 「同盟国で民間人、ジャーナリストに刑事罰を科す国は他にない」「日本の秘密保護法は原則から逸脱している」と批判。(5月9日)
4)辺野古新基地、秋の着工を検討:政府は11月にも行われる知事選前の着手を検討。(5月12日)

5)沖縄、復帰42年:県民の期待に反して、今も多くの危険な基地を抱えたままだ。(5月15日)
6)文科相が「監視のすすめ」:「道徳の副読本を子供が持ち帰っているか」と呼びかけ。(5月18日)
7)稲嶺名護市長 米国で訴え:国務省で担当者に「辺野古新基地には沖縄県民の74%が反対。名護市長選でも(民意は)はっきり示されている」と訴え。(5月19日)
 

2014年6月14日  大村市九条の会 事務局