2010年度 第4回「集い」報告書


2010年10月2日開催、第4回「集い」報告書
 第4回「集い」はさしもの暑さも和らぎ、涼風が吹き抜ける中で開催されましたが、秋の行事のためか、市長選の影響でしょうか?残念ながら参加者僅か18名というワースト記録となりました。

 「集い」は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下安保と記す)誕生の歴史的経緯をビデオ視聴で始まり、旧安保条約の各条項(全5条)及び新安保条約の各条項(全10条)の読み合わせを行いました。 その後、6月5日に長崎で開催された畑田重夫氏(日本平和委員会代表理事)講演会の「伝達講習」と事務局用意の関連資料(別記掲載)を使って学習を深めました。

 条約改定の目的として、「対等な条約に改める」ものとし、「事前協議」や「憲法」の精神を尊重するかのような表現に彩られているが、事実上は「憲法の拡大解釈」や公然と「密約」が横行しており有名無実に等しい。 「憲法が輝く日本」にするためには、10条の規定を生かした「日米安保」廃棄に向けた運動の重要さを強調されました。

 参加者からは引き続き「安保」問題を取り上げて欲しいとの要望が出されました。 次は「六周年記念の集い」です。多くの皆様にご参加いただけるような斬新な企画を計画したいと思います。近々改めてご案内致します。

署名活動の紹介と協力依頼
 2010年6月12日。埼玉県の高校生グループが「普天間基地撤去を求める署名活動」の取り組みを開始しました。高校名は私立「自由の森学園」です、代表は3年に在学の中島大地君です。

  「大村市九条の会」としてこの署名活動に全面的に協力することを決定し、すでに署名活動に取り組んでいます。  無関心な若者と評されがちな中、こうした勇気ある行動を側面から支えることは私達大人の責任・使命でありましょう。彼等の「平和」を想う純粋な気持ちが大きく拡がりますよう皆様方の絶大なるご支援をお願い致します。

  「普天間基地撤去を求める高校生の会」で検索下さい。「署名の趣旨」「署名の書き方」「署名PDF版ダウンロード」「メール宛先」および「賛同者の氏名」などをご覧いただけます。

  「自由の森学園」の沿革、教育方針についても同名で検索下さい。  署名はメールで直接上記「メール宛先」にお届けいただいても、「大村市九条の会」にお届けいただいても結構です。私共の集めた署名と共に転送致します。
             
2010・10・4 「大村市九条の会」事務局

<第4回「集い」参考資料

T、60年の条約改定の主な条項   
@第2条:「経済的協力を促進する」→経済的従属(年次改革要望書)   
A第3条:「武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を・・・維持し発展させる」 → 日本の軍備増強の義務付け   
B第5条:「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が共通の危険に対処するように行動する」 → 共同防衛、集団的自衛権   
C第10条:条約の終了、廃棄  

※ 旧条約改正は「対等な条約に改める」ものとし、「事前協議」制度を強調し宣伝するが、実態は以下の例が示す如く文章上の表現の止まるものであることは明白である。 条約全文の甘言に注意すべきである! 憲法の拡大解釈および密約などで有名無実。

 例1: 第3条・・・憲法上の規定に従うことを条件として・・・   
 例2: 第5条・・・自国の憲法上の規定及び手続き従って・・・   
 例3: 第6条・・・日本国において施設及び区域を使用することを許される (全土 基地方式)

U、年次改革要望書(抜粋)
 1993年。宮澤喜一首相とクリントン大統領との会談で決まったものとされる。
 1997年:独禁法改正・持株会社の解禁
 1998年:大規模小売店舗法廃止、建築基準法改正
 1999年:労働者派遣法の改正、人材派遣の自由化
 2003年:郵政事業庁廃止、日本郵政公社成立
 2004年:労働者派遣法改正(製造業への派遣を解禁)
 2005年:日本道路公団解散、分割民営化、新会社法成立

V、思いやり予算(在日米軍駐留経費負担の通称)に関して
 @ 日米地位協定(後述)では基地の提供に伴う地代、基地周辺対策費が義務付けられている。しかし、1978年に金丸信防衛庁長官が米軍基地で働く日本人の給与の一部として62億円支出したのが始まり。以後、米軍基地の整備費のほか、日本人従業員の労務費、米軍の光熱・水道料、訓練移転費として支出されてきた。2011年予算として計上されている1859億円(9月23日付)を含める総額は3兆1205億円にのぼる。基地整備費に限れば2兆1714億円。 ここ数年減少傾向にあるとはいえ、過去には社会保障費の削減額を上回る金額が支出された。
  ※ 「おもいやり予算」の語源:円高ドル安による米国の負担軽減を考慮した措置。
  ※ 2011年度 軍事費概算要求額 5兆円規模を維持

W、日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)
第1条〜第28条 内容には多くの不平等性が含まれている。
・ 裁判権「第17条5(C)」
 例1:1995年、沖縄における少女(12才)強姦事件で実行犯3人の身柄が引き渡されなかった。
 例2:2004年8月の沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件でも協定の壁に日本側捜査阻まれる。

X、ETV特集:「安保とその時代」
@第1回 日米安保を生んだ「冷戦」
A第2回 「改定」への道のり
B第3回 60年安保闘争の30日
C第4回 「愚者の楽園(フールズ パラダイス)」へ 安保に賛成した男たち
グループ名、土曜会メンバーの主張は体制内改革  
現状においては日米安保条約を受容するも、憲法九条を変えて自国防衛力を整備、増強しアメリカに頼らない真の独立国家を目指す。

・若泉敬:国際政治学者。佐藤栄作首相の密使として沖縄返還交渉に深く関与。 沖縄問題を@ 領土問題 A 国民感情 B 沖縄県民の人権問題と指摘。 死の直前、「安保破棄」しか現状打破の途はあるまいと口にする。

・佐々淳行(さつさあつゆき):1972年「浅間山荘事件」の警備実施及び広報担当幕僚長。 初代内閣安全保障室長。 現在は評論活動。

書籍案内   
1、「どうみる 新しい内外情勢」 畑田重夫著 学習の友社 2010年版   ¥700円
2、「CIA秘録上・下」 ティム・ワイナー著(ニューヨーク・タイムス記者)  大村図書館蔵
  ・「別のやり方でやった」自民党への秘密献金(上巻)。「経済的な安全保障のためのスパイ」(下巻):米政府が公開した文書によると岸信介、児玉誉士夫、正力正太郎各氏らもCIAに資金供与を受けたとある。
  
3、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」 若泉敬著 文藝春秋 1994年版
4、「連合赤軍『あさま山荘』事件」 佐々淳行著 文藝春秋 1996年版
  上記2冊 県図書館蔵

(掲載日:2010年10月7日)