2010年11月13日開催、六周年記念の集い・講演会報告書
季節はずれの黄砂現象に戸惑う日が続く中、「六周年記念の集い・講演会」を開催致しました。 講師の西岡由香氏は、ピースボートに参加し三ヶ月にわたり17ヶ国を巡った体験を通して「平和」について熱く語られました。スクリーンに映し出される現地映像の数々は言葉を補って余りあるものでした。
1時間余に及ぶ講演の中で特に心に残ったお話の概略を箇条書きにてお伝え致します。
(1)
アフリカの寄港地モザンビークで「平和ってなんだろう」と質問を受けて咄嗟には答えられずに困った事。考え続けた結論は「心安らぐ場所での心安らぐ生活」だったそうです。
(2)ネルソン・マンデラ元大統領が27年間収容されていたことで知られ、世界遺産に登録されている南アフリカ、ケープタウンの沖に浮かぶロベン島で「長崎を知っている人」と出合って驚いたと語られました。 悲惨を極めた被爆都市長崎が「平和希求」の象徴として世界で広く認知されている証なのでしょうか。
(3)平和の誕生には「出会う、違いを受け入れる、全ての人間に共通点がある、一緒に行動する」ことだという「長崎方式」を提示されました。
(4)
逆に「平和」でない状況を生み出すのは、「出会う機会がない、対話がない、お互いに恐怖感をいだく、攻撃的・暴力に向かう」であり、戦争に繋がる道筋を指摘されました。
(5)
「平和な状態を作る」には「出会う」ために「壁がなくす」ことの必要性を強調され、「イスラエル・パレスチナを通して見えてきたもの」「韓国と北朝鮮」を例に取って話されました。
(6)
スペイン最西端、アフリカ北西部に浮かぶカナリア諸島に「ヒロシマ・ナガサキ広場」があり、そこには「憲法九条の碑」があると紹介されました。
上記(2)のロベン島と同様に「長崎」から発信される平和への想いは地球の隅々にまで及んでいることを実感できるお話でした。
*「カナリア諸島 九条の碑」で検索いただくとグランカナリア島、テルデ市の「憲法九条の碑」を写真でご覧いただけます。
続いて著書「夏の残像」「八月九日のサンタクロース」を書くにあたり「原爆をどう描くか」「原爆をどう 伝えるか」について、「マンガで伝える原爆」に託した「平和」への熱い想いを語られました。尊敬する「伊藤千尋氏」の著書「変革の時代―理想は実現できる」も併せて紹介されました。
参加者24名という寂しい記念講演会になりましたが、講演後の意見交換会では「新鮮な話に感動した」 との感謝の気持ちの発言が続いたのがせめてもの救いでした。又、映像を使った講演の良さを再確認できた 講演会でした。 講師への感謝の言葉に添えて、「壁を作らせないように頑張りたい」、「何事も行動しなければ始まらないのだと改めて感じました」との感想文が寄せられました。
事務局への要望に、24年間北朝鮮での生活を余儀なくされ、北朝鮮を「ならず者」扱いする傾向の中で、「真の北朝鮮を知り和平の道を探るべきだ」と発言されている蓮池薫氏の話を聞く機会をとの声がありました。
非核三原則、武器輸出三原則の見直し発言。尖閣諸島沖に於ける海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件、ロシア連邦大統領の「国後島」訪問を好機とばかりにナショナリズムを煽る発言や国会における「防衛費」の増額を迫る質問。検討を約束する防衛大臣。参議院憲法審査会を始動させようとの動き等々。
これらの一連の流れを憲法改悪への助走が加速している危機と捉え、護憲運動を更に進めるために今後一層のご協力、ご支援をお願いして報告と致します。
参考:
(1)非核三原則(作らず、持たず、持ち込ませず)
(2) 武器輸出三原則とは
・共産圏諸国
・国連決議により武器などの輸出が禁じられている国
・国際紛争当事国、その恐れのある国への輸出を禁止するものである。
更に1976年の政府統一見解で「上記以外への武器輸出を慎む」とし日本の武器輸出は原則禁止となる。尚、武器には「武器技術」も含まれる。
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