2012年度 東京・神奈川訪問報告書(11月12日〜16日)


2012年度 東京・神奈川訪問報告書(11月12日〜16日)報告書(報告者:「大村市九条の会」谷川成昭)

1)「わだつみのこえ記念館の企画展」 (通常は月・水・金のみ開館)
   所在地:東京都文京区本郷5−29−13 赤門アビタシオン1階〜2階
    TEL&FAX  03−3815−8071

  無限の可能性を秘めたまま「学徒出陣」で戦地に駆り出され、再び故郷の土を踏むことの叶わなかった若者達の死を無駄にしないようにとの想いが込められた「わだつみのこえ記念館」です。直筆の日記、手紙を始めとする貴重な資料と書籍が展示・販売されています。

 又、ご存じの様に長野県上田市には戦没画学生の作品が展示された美術館「無言館」があります。両館ともに「平和な日々」が当然のことのように受け止めがちな私共に二度と同じ悲劇を起こさないようにとの警鐘を鳴らしてくれる貴重な存在です。

  お読みいただければと刊行本の一部を紹介します。(順不同  他多数)
   1,「あゝ 祖国よ 恋人よ」きけわだつみのこえ   上原良司  信濃毎日新聞社
   2,「学生達の太平洋戦争  国に捧げた青春の記録」 編集者 熊谷 眞   夢工房
   3,「砕かれた神」 渡辺 清 岩波現代文庫。 「海の城」「戦艦武蔵の最後」 渡辺 清 朝日選書
 
*渡辺 清氏:1925~81年 16才で海軍に志願。戦艦「武蔵」に乗り組み、マリアナ、レイテ沖海 戦に参加。「武蔵」沈没から奇跡的に生還。「日本戦没学生記念会」元事務局長。

2)講演会 演題:「憲法九条を中心に情勢・展望を考える」 
〜大連立政治でどうなる、原発、オスプレイ、TPP、改憲〜
 講師 一橋大学名誉教授 渡辺 治氏(九条の会 事務局)
 11月14日 横浜市港北区公会堂

 構造改革、軍事同盟の深化を押し止めたいとの期待の中で誕生した「民主党政権」ではあったが、国民の多くが反対する諸政策(消費税増税、原発再稼働、TPP参加、オスプレイ配備、改憲)を推し進める実態は自民党時代に逆戻りを思わせ大きな失望を生んでしまった。

 講師の渡辺先生は下記のレジュメと豊富な資料を使って、日本が直面する問題とその解決のために取り組むべき道筋を分かりやすく説明されました。
 (1)今、何故憲法改悪が浮上しているのか?   
 (2)「大連立」政治が狙うもの新自由主義大攻勢、軍事大国化、そして改憲が
 (3)いかに立ち向かうか?

 国が原発の再稼働を強行する経済的背景に得心できました。又、今後「大村市九条の会」の輪を拡げるためには全国で展開されている「原発反対行動」のように、子供連れで参加できるような垣根の低い活動のあり方を工夫すべきだと感じました。

3)小林多喜二研究家 蛎崎澄子氏と面談。 神奈川県横浜市瀬谷区
 蛎崎さまとは2009年に長野県諏訪市で開催された「伊藤千代子没後80年」の集いでご挨拶しました。多喜二が豊多摩刑務所で刑期を終えた後に逗留して「オルグ」を執筆した「福元館 離れ(厚木市七沢)」を 探し当てた方です。

  小林多喜二を始め多くの作家、思想家が治安維持法の下で弾圧され犠牲となった時代へ逆行しかねない現在 の危険な右傾化の風潮を二人で愁いながら2時間ほど懇談しました。

まとめ
  新自由主義は国民取りわけ弱者に犠牲を強要する仕組みです。消費税増税、原発や沖縄に集中する米軍基地が象徴的です。一部の特権階級のために容赦ない「犠牲」が強いられる国家を民主主義国家と言えるでしょうか。国民は選挙の時だけの主権者であって、それ以外は「蚊帳の外」の存在に過ぎない現状が案じられます。

 日本国民は自国のみならずアジア諸国にも多大の犠牲を強いた先の大戦の歴史に学び、平和を希求する「日本国憲法」を大切にすべきだと訴えたいと思います。

*最終日は飛行機搭乗までの時間、卒業生のI君に「東京スカイツリー」「東京アクアライン 海ほたるパーキングエリア」を案内して貰いました。田舎とは違うスケールに圧倒される楽しい時間を過ごさせて貰いました。
(終)


(掲載日:2012年12月6日)